卯月

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精一杯抵抗しているつもりだったが、 ソイツの細くて冷たい指が 後肛の窄まりに突き立てられた時、 一気に力が抜けた。 そんなところ、 自分でも触れたことがない。 強引に掻き回され、 最奥まで、 指が挿入される。 痛くて、 怖くて、 頭が真っ白だった。 「イヤだ」 「最悪」 「怖い」 そういった感覚的な恐怖が 脳内を激しく乱反射している感じだった。 拘束していた左腕を放し、 左脚をぐっと持ち上げられた。 そして、 指で拡げられたそこに、 冷たい雄が挿し込まれた。 一気に突き上げられ、 痛みで脳天が揺らぐようだった。 熱い。 冷たい。 どちらの感覚がホンモノなのか わからない。 なにが熱くて、 なにが冷たいのか。 焼けるような痛みのせいか、 それとも犯される恐怖のせいか。 自分の中で、 何かが壊れ、崩れるのを 感じた。 身体も心も、 蹂躙され、 紅く散るのを見たような気がした。 遠のく意識の中 このまま目が覚めないかもしれない と思った。 化け物に食われ、 命も取られた、と。 それならば、 そうであっても構わない。 壊れた自分を、 見たくはなかった。 こんなことされたら、 ショックで立ち直れない。
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