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言ってみればただそれだけの事だ。しかし、彼の勘は何かがおかしい…と警告を発していた。
やがて料理を始めたのか、食堂にまで音が聞こえてくる。
しかしながらそれは少し料理をする時には聞かないような音だった。
どんな音か擬音で表してみると、ガリガリガリガリ…という何かとてつもなく固いものを削る音や、バガァンッ!バガァンッ!っとこれまた何か固いものを砕くような音。
他にもザクザクザクザクッ!と何かを無心に突き刺している音などなど。
聞いている側が本当に何を作っているのか不安になるような音ばかりがひっきりなしに聞こえてくる。
これには雪野以外の三人も目を丸くしていた。
「…えっと……料理をしないからよく分からないんスけど、こんな音って普通するんスかね?」
「俺っちもよく分からないのよな…。女子代表のミーシャさんの意見はどうなのよな?」
「す、少なくとも母さんの料理を手伝っていた時にはこんな音したことがなかったと思うのじゃが…雪野はどう考えておるのじゃ?」
三人が不安になってきた中で、雪野は一人だけ確信を持っていた。
「別に…普通なんじゃないか?」
心の中では真逆の答えを出しているが、それを表情に出さず自然に答える。
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