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「そ、そうなんスか?」
「ああ。高級食材を使うなど、手の込んだ料理ではこんな音がするものだ。」
さらっと嘘をつく雪野に、三人は疑問を持ちながらも、それなら…と納得する。
危険だというのは雪野の中では既に確定したのに何故三人に嘘をついたのか…
その理由は簡単だ。
全員が危険に気づいて逃げ出せばエーリも気づくだろうし、何よりそれでは機嫌を損ねかねない。
ならどうするか…?というと、自分一人で自然に…あくまで自然にこの場を去るという事だ。
そのためには生け贄…もといここにいる三人には危険だと気づかせてはならないのだ。
やがて今度は音が止んで煙が立ち込みだす。
色は紫。匂いは強烈。何故か目にしみる。
「こ、これはどうなのじゃ、雪野?」
「何か凄い危険な気がするのよな!」
「お前らは本当に知らないんだな。高級な料理を作るには、ときには特別な方法を使うことがある。その一つがこの煙だ。この煙で味が逃げないように料理に蓋をしてるんだよ。」
一体何の蓋になるのかすら分からない根っからの出鱈目なのだが、そう言われると何だか納得してしまう三人。
気づいてもよさそうなものだが、雪野が真面目な顔で言ってくるので、つい信じてしまう。
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