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「なあっ、ここって誰も使ってねーの?」 自分たちが歩いているのは東校舎。この校舎は移動教室のときに使う教室が多く、放課後の今は部活動以外あまり使用していないので静けさを保っている。 すずが指を指したのは社会科教室。いろいろな教材が置いてあるだけで、授業では使わない教室だ。 「うん、教師しか使わないかな」 「ふーん、そっか。…あれ、でも人がいるけど」 え?と尋ねるより早く、すずは社会科教室のドアを開けていた。 「失礼しまーす。なあ、誰かいんのー?」 すずにつられて蜜蜂も一緒に教室に入る。いきなり大声をあげたすずに少し驚きながら。 「……」 あれ誰もいねーの、とつぶやきながらすずは辺りを見回す。途端、すずは目を輝かせた。 「いたー!!」 その人は教室の隅で窓際の椅子に腰掛けていた。 「なあ、あんたこんなとこで何しっ……」 その人に近寄りながら笑顔で話しかけるすずは人懐っこい性格なんだろう。 だがその笑顔は固まっていた。 言葉が途切れたすずを不思議に思いながら、蜜蜂も近寄って一体誰なのか、と彼の顔を見てみる。 「あんたらマジうっせえんだけど、何」 「……赤木?どうしてここにいるの?」 二人を見て顔をしかめた彼は、赤木遊佐だった。 名前の通り、明るい髪に赤のメッシュを入れている。 同じクラスだが、授業にあまり出ていない彼を見たのは久しぶりだった。 .
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