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「べつに。あんたに関係ないだろ」
面倒くさいと言わんばかりに眉間に皺がよせられる。切れ長の瞳は一瞬ちらっと蜜蜂の方を見て、すぐに逸らされた。
「…ごめん。でもっ関係ないかもしれないけど、少し心配してたんだ、授業出てなかったから」
元気そうでよかった。
そう言ってふんわりと微笑んだ蜜蜂に視線をよこす。赤木は大きなため息をついて蜜蜂と目線を合わせる。
「マジあんたってうざったい奴だな」
彼の突き放すような視線が刺さっていた。
のどの奥で言葉がつまっていた。
赤木とは数回しゃべっただけ。そのときも簡潔な返事だけだった。
何か言わなければ、と口を開いてもなんの言葉も出てこない。
赤木は興味がない、と言わんばかりに視線を蜜蜂の隣に立つすずに向けた。
今まで蜜蜂と赤木を見ながら立ちつくしていたすずは、赤木と目があって我に返ったようにしゃべり出す。
「…おい、はにーはお前のこと心配して声かけたんだぞ!何ひどいこと言ってんだよ、謝れ!」
赤木は大声でまくし立てるすずを見て、少し驚いたような顔になる。
でもそれは一瞬で、すぐに無表情に戻る。若干苛立ちながら。
「あんた、次から次へ面倒くせーやつ連れてくるな」
少し抑えたため息を吐きつつ、ちらっと蜜蜂を見て赤木は椅子から立ち上がり教室の扉を開けて出ていった。
すずのおい待てよ、という怒鳴りを余所に。
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