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せーのっ! 「「夏休みーっ」」 静まった生徒会室に、パンッと高らかな音が響いた。 書記の双子は空中で両手を合わせたまま深くため息をついた。 お互いに顔を見合わせ、そして困ったように視線を向けた。 …パソコンと書類相手に仕事に追われている仲間たちに。 「まだ終わってねえだろ。終業式までに終わらせる仕事がたまってんだぞ!」 「あー書記さんヒマならお茶お願いします。ただでさえ役に立たないんですから。濃いめでー」 「会長、書類の確認いいか?」 「いや赤木なら修正ないだろ。次蜜蜂の分頼む」 …………。 一拍置いて、さらに室内の温度は下がった。 「「…雑巾玉露でも入れようか」」 なんて出来事があったのが数日前。 そして現在、終業式の日の朝。 「「はにくん帰還おめでとーっ!!」」 きゃーっと甲高い声を上げて書記たちは蜜蜂に体当たりをした。もとい、抱き着いた。 「おいまだ病み上がりなんだぞ。はにーも無理すんなよ!」 「副会長お疲れ様です。またお茶入れてくださいね。誰かさんたちのお茶は飲めたもんじゃありません」 「……」 生徒会室では打って変わったようなあたたかい歓迎ムード。 「…うん。みんな心配かけてごめんなさい」 蜜蜂は深々と頭を下げる。前に出た夕月が蜜蜂の正面に立つ。見下ろすような形で蜜蜂の頭に手を乗せ、…思いきり力をかけた。 ぐぎっ。 「いっ、!」 「バーカ」 鈍い音。蜜蜂は不自然な首の痛みに思わず頭を上げる。若干涙目だった。間抜けな声に夕月はめずらしく微笑んでみせる。 .
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