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今回の旅行に夕月とすずは参加しない。
それを蜜蜂から聞かされたとき、双子と零はとても残念がっていたが事情は分かっているのだろう。それ以上聞いてくることはなかった。
verenoという族のこと、すずが起こしてしまった事件。
それがきっかけですずと自分が拉致される一件に繋がったこと。
巻き込んでしまったことと、すずと族との関係を言わなかったこと。夕月に頭を下げられたのは初めてで、混乱するばかりだったが。
そして落ち着いたところで。
双子から持ち掛けられた旅行の話をしてみたのだが、返ってきたのは行けない、という返事。
「予定がある」
「予定?」
「ああ。すずも一緒だ。やらなければいけないことがある」
夕月の顔には強い決心が表れていた。
あれからすずの姿を見かけたことはない。終業式にも欠席だったのだ。
双子も零もかなり心配しているが、無理に部屋に押しかけたりはしていない。夕月が大丈夫だと言ったから。
「蜜蜂も楽しんでこいよ」
「…うん」
自分が浮かない顔をしていたのに感づいたのかもしれない。
今度夕月とすずに会ったとき、二人が笑っていると良い。
軽井沢一日目。
よく晴れた旅行日和の日だった。
目的地までは車だということで、一行は双子の家から手配された車に乗り込んだ。
「なんで車の中に冷蔵庫があるんですか。馬鹿なんですか」
「え、普通じゃね?更紗の車には無いのか」
「あいにく一般家庭なんで。奨学金制度でこの学園入ってるんで」
「「奨学金!?さらくん頭良いんだね!」」
車内にいるのは双子と零と更紗、そして蜜蜂と赤木というメンバー。
更紗も生徒会に溶け込み、わいわいと賑やかな空気が楽しい。
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