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いつの間に寝ていたのだろう。 暖かい日差しに目が覚めた。 窓越しでも感じる夏の煌めきからふと視線をそらした先に。 やっぱり赤木の姿は無かった。 「はよー」 一階のカフェに降りてきた蜜蜂はまだ眠そうな零に笑う。 「おはよう。眠れなかったの?」 朝ご飯がてらカフェで集合の予定だったのだが、双子はまだ来ていない。 赤木はカフェの端のテーブル席に座っていた。正面には更紗もおり、極普通に談笑している。 そう、いつもと同じ。 「それがさ、早く起こされたんだよ」 零がはあ、とため息をついた。 「起こされたって、更紗くんに?何かあったの?」 不思議そうに尋ねる蜜蜂に、零は小さく声を上げた。困ったように目を逸らす。 「…あ、いや、なんでもない」 明らかに様子がおかしい。 蜜蜂はさらに質問を重ねようと口を開いたが、それは彼らによって遮られる。 「「みんなおはよう!遅れてごめんなさいっ」」 慌てて駆け込んできた双子に皆は口々に返事を返す。 「「はにくんも、おはよ」」 蜜蜂は双子に近寄り、にこりと微笑んだ。 そこで、はたと後ろを振り返ったがもう零はいなかった。 赤木と更紗のいるテーブルの隣。 …逃げたのかな、これは。 更紗と何かあったのかと思ったが、そんなことはなさそうだ。 なんて、要らぬ心配をしている場合ではない。 自分のことをどうにかしなきゃ。…あれ、違う。そうだ、もう解決したんだ。 今まで通りって。 え、でも。それってどういうこと? 「「ねえ、はにくん!」」 「…え、なに?」 「「もう。僕たちの話聞いてた?」」 「ごめん。なんだっけ?」 双子が顔を見合わせて口を尖らせた。 .
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