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「オレのお節介が悪い方向にいっちゃいましたねー」
「…お前分かってて仕向けたのか」
「何の話ですか?」
赤木が言い負かされているのを見たのも初めて。
二人の会話にはついていけないが、口を挟まず成り行きを見守る。
「部屋を追い出されたんですか」
「されてない」
「…ふうん?」
俺が気になるのは一つだけ。
赤木を真正面に見据える。ゆらりと目が合ったとき、口を開いた。
「お前、はにーに何かしたのか」
二人の視線が赤木に集まる。
「…した」
「「何を?」」
更紗と声が重なり、顔を見合わせた。
…今までのくだりは全部知ったかぶりだったのか。
更紗が興味津々、といったように身を乗り出す。やっぱりどこか楽しんでいる節が見える。
「けど多分帳消しになった」
なんとも表現しがたい赤木の顔。まさに苦虫をかみつぶしたような。
「「はあ!?」」
もう全くの意味のわからなさ。
けれどあまり理解したくもなかった。
なんて収拾のつかない話をしているうちに日は昇っていた。結局、それ以上聞き出すのは諦め、下のカフェに降りるよう彼らに促す。
しつこいようだが、俺は赤木遊佐が嫌いだ。
それでも、自分の大切な友人が心を開いた奴。
そして自分の大切な人達を助けてくれた奴。
彼が蜜蜂を傷付けることはない。これは確信。根拠はない。
何が言いたいのかというと、俺は蜜蜂の味方ってこと。
大きくあくびをしながら階段を駆け降りた。
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