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部屋割をくじ引きで決めようと言い出したのは誰だったか。
夕月とすずが急遽合流したはいいものの、余分な部屋は空いていないらしい。
そこで一部屋に二、三人になるよう新しくメンバーを替えたのだ。
部屋の広さはかなりのものなので、部屋の人数が増えようが困ることはない。
特に問題は無いはず、なのだが。
「ゆうくん一緒にお泊りだね!」
「その呼び方辞めろ」
「うわあ、浴室広い!三人で風呂入れるぞっ」
「入んねえよ」
まさに収拾のつかない状態。
メンバーがメンバーだから仕方がないことだが。
双子の片割れ、弟の満とリン、そして自分。
小柄な二人が楽しそうにはしゃいでいるのを横目に、息をついた。
皮肉にも、不自然さもなく蜜蜂と部屋を変える口実となった。
たしか蜜蜂はユヅキと同室だった。だから何、ということもないが。
「ねえ、明日はみんなで遊ぼうね」
満が赤木をじっと見上げる。
「…ああ」
「やった!」
子供のように跳びはねて喜んでみせる。
その姿は和ましく、ふっと表情を緩ませた。
それを見た満は再度満面の笑みを浮かべた。
「なあ風呂ー…」
「俺は後で入る」
チェッ、なんてつまんなさそうな舌打ちが聞こえた。けれど。
「明日ははにーも一緒に遊ぼうな!」
なぜか機嫌が良さそうな声と明るい笑顔。
怪訝に思い眉を上げた。
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