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翌日の朝は昨日にもまして快晴。
自然と早くカフェに集合した一同は今日の予定を練るため、嬉々として顔を寄せ合う。
「「ボクたちこの小物屋さんに行きたーい!」」
「はあ?それより、まずはここで昼飯食って…」
「「ええー!こっちのカフェでケーキ食べたい!」」
が、早速話は決裂し始めていた。
喧嘩腰の双子と零を蜜蜂は困った顔で宥めすかしている。更紗は我関せずと傍観を決め込んでいるし、まして横にはお互いを見つめ合い、無意識かわざとか辺りに有害なオーラを撒き散らしている映画のような二人の光景。
楽しそうに何かを話しかけるリンと、それを甘く優しい笑みで聞いているユヅキ。この二人はいつの間にこんな関係になったのか。二人が一緒にいるのはあまりにも自然のなりゆきかのようで、周囲も何も尋ねようとはしなかった。
何があったのか、なんて。まあそんな不粋なことは聞く必要もない。
諦めて、ため息をついた。
「別行動にすれば」
ぐるりと双子の首が回る。きょとんとした顔で瞬きをする。
「「え?」」
合わさった声。今更だがどこまでもシンクロしている双子の仕草に少し驚いた。
「互いに別行動で、待ち合わせを適当に決めれば」
「「なるほど!」」
気付いていなかったのか、と嘆息した。
零も口を挟んでこないことから、どうやら納得したらしい。
そして、蜜蜂もホッとしたように顔を上げた。
一瞬だけ交差した視線はどちらからともなく外される。
それは違和感など微塵も感じないほどのもの。
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