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「お兄さんたちは旅行で来てらっしゃるんですか?」 ぱちぱちと瞬きをする。 「はい、学校の友達で」 自分で言って少しだけ違和感を感じた。 生徒会のメンバーとはずっと一緒にいるから友達というより家族に近い仲間だ。 「へえ、そういうの素敵」 彼女は敬語をくずして笑う。 「えっと、あなたはここで働いてるんですか?」 「うん。このカフェのオーナー、私の叔父さんなの。学校が休みのときは手伝わせてもらってるんだ。…越して来たのは最近かな」 どうやら自分たちと同い年らしい。 彼女の表情が一瞬曇ったように見えたのは気のせいだろうか。 それを口にしようか迷っている間に、 「そこのウェイターさーん!注文いい?」 ほかのテーブルから彼女を呼びかける声が聞こえた。 「はーい、すぐ伺います」 ぱっと笑顔を浮かべて元気よく返事を返した彼女は蜜蜂を振り返る。 「ごめんね、注文また聞きにくるから」 「あっいえ!ずっと引き止めててすいません」 随分長く話し込んでしまった。客の入りから見ても繁盛しているであろうに、いい営業妨害だ。 「ううん、私も楽しかったし。それじゃあ」 小さく手を振った彼女は慌てて注文を取りに行った。 やっぱり申し訳なかったな。 まだメニューとにらめっこをしている双子に困ったように息をついた。 蜜蜂はちらりと時計を確認する。 別行動をしている零たちとの待ち合わせはこの場所だが、時間にはまだかなり余裕があった。 .
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