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諭すような口調。 「自棄にでもなったか」 「え?」 「自覚無しとかかなり重傷」 蜜蜂の横に立ち、手摺りにもたれ掛かる。 何のこと、と首を傾げる蜜蜂に肩をすくめてみせた。 「夕月も…その、雪乃ちゃんと知り合いなの?」 吃りながらも自分から口火を切った蜜蜂に驚いた。 あまり触れたくない、といった様子だったのに。やっぱり気になるのだろう。 「俺は知り合い。すずは友達」 初めて雪乃に会ったのはたしか二年前。言ってみれば最低の状況だった。 どこかから流れてきたチームが好き勝手暴れ、その中でも一際聞くに堪えない事件。 雪乃が乱暴されていたのを偶然見かけ、未遂で助け出したのが赤木。 その際に夕月とすずは手助けをし、その後も何度か見舞いに行った。 「…赤木は?」 「それ以上。本人がどう思ってるかは知らないが」 蜜蜂は明らかな動揺を見せる。 少しからかい過ぎたか、と苦笑した。 「詳しい話はあいつから聞け。俺が軽々しく言っていいことじゃない」 これは真剣。 何かを察したのか、蜜蜂も神妙な顔でうなずいた。 「回りくどい」 呆れてため息をついた。 びくりと肩をふるわせた蜜蜂はおずおずと夕月に視線をやる。 「……」 「お前は赤木と雪乃の関係が知りたい。要するに、付き合ってるのかどうか」 ばっさりと言ってのけた夕月に蜜蜂は数回まばたきをする。 「そういう訳じゃ、」 「そういうことだ」 自分の柄ではないことは分かっている。 他人のこういうことに首を突っ込むなど不粋にも程がある。 分かってはいるのだが、蜜蜂は放っておくと全く違う着地点についてしまうのだ。 無意識か、それとも意図的にか。 どちらにしろ原因は自分にある。 .
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