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「…何言ってんだ、こいつを守るのが俺らの仕事だろ」
…こういうのを場が固まる、というのだろうか。(あれ、こんな言葉あったっけ)
それは今まで一言も喋らなかった夕月だった。
さすがこの学園を任された生徒会会長、というのだろうか。
彫りの深い端正な顔立ち。
低く通る甘い声。
何をしていても絵になるような容姿と人の前に立つために持つそれはカリスマ性。
毎日顔を見ている生徒会メンバーでさえも見惚れて言葉を告げなくなる。
そしてその空気を取り払ったのはすずだった。
「…べつにオレは守ってほしくなんかない」
すずの顔はひどく歪んでいた。そんな自分が悔しくて情けない、というような。
「守る、といっても俺らが佐伯について護衛する、ということではない。生徒会に入っている、というのは印籠みたいなものだ。生徒会メンバーを襲おうなんていうバカはいない」
それは“守る”ことだろう?
なだめるように優しく言って夕月にすずは反論できない。渋々だが頷いた。
(夕月の纏う雰囲気は人を従わせるものだ。でもそれは力で押さえ付けるのではなくて…)
「「よしっ、じゃあ一緒に遊ぼー!」」
夕月に気圧されていたツインズは弾かれたように椅子から立ち上がり、両側から腕を取った。
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