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「今日の議題は校内行事についてです。まだ何をやるかは決まってないんだけど、…」
それは生徒会会議のとき。もう五月も後半に入り、皆が学園に(良い意味でも悪い意味でも)馴染んできた頃。
そして学園での校内行事が迫ってきていた。
「…おーい、みんな聞いてる?」
じいっと夕月をにらんでいる零と双子。
その目線の先には“夕月の膝に乗った”すずがいた。
「おい、夕月降ろせよっ!はにーが困ってんだろ」
「蜜蜂、気にするな。話を続けろ」
本当に、いつの間にこんなに親睦を深めたのか。なんだかんだ言って、すずもそこまで嫌がっている様子ではない。
そして二人の仲睦まじい様だけならばほほえましい、で済んだものを。
「「会長すずから離れてよー!」」
「すず、俺の膝に来いよ」
それだけでは済まないのだ。
零と双子もいつの間にやらすず争奪戦を繰り広げていた。
彼らは言った。
すずは自分の本当の姿を見てくれる。
財や家柄が高位な彼らはそれぞれにいろんな悩みを抱えていた。
いつでもまっすぐで正直なすずは、
「あの…はにー、オレ何か迷惑かけてるよな、ごめん…」
しゅんと俯くすずに安心させるように微笑んで言った。
「すずくんが来てくれてみんなすごく嬉しそうだからね、気にしないで。迷惑なんかじゃない」
「…ありがとうな。オレあんまり役に立たないかもしれないけどっ、頑張るから!」
よしっ、と意気込んでガッツポーズを決めたすずに皆は顔を見合わせて笑った。
(すずくんはみんなにとって光のような存在だ)
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