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「あれ、そういえば満と透は?」
「あー、あいつら来ると門が余計騒がしくなるだろ?だから今日は呼んでない」
満と透は書記の双子さん。二人はセットで人気があったりする。
蜜蜂と夕月は話しながら校舎を歩く。
元々、理事長室は職員室から近いので割と早く着くのだ。
「理事長、生徒会です」
蜜蜂が理事長室のドアをノックし、声をかける。
「入ってきなさい」
失礼します、と部屋の中に入るとそこには。
「おもしろい見た目だな」
「…夕月っ」
蜜蜂は夕月の言葉を諌めるように尋ねる。
「彼が編入生の方ですか?」
ちらっと彼を見てみると失礼かもしれないが、たしかにオタクっぽい容貌だ。
もっさりと黒い髪、分厚く丸い眼鏡。
(でも多分…)
「ああ、私の甥っ子でね。ちょっと事情があってここに編入することになった」
思考に耽っていた蜜蜂は、理事長の言葉を聞き、また別のことを考える。
(可愛がっている甥っ子さんだから心配だ、というのは分かるけど)
「どうして俺たちを呼んだんですか」
今まで黙っていた夕月が、蜜蜂も不思議に思っていたことを尋ねる。
ああ、そのことなんだが、と理事長は少し間を開けてから考えるようなそぶりを見せながら答える。
「生徒会にこの子を迎えてくれないか」
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