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(大体男の首筋なんか興味な…)
考えるまでもなく当たり前のことにふう、とため息をついて髪を掻き交ぜる。
「きゃああああああ!」
「はにーさま、髪を結われると一層色っぽいです!」
…ええぇ!
何故だろう、講堂がまた賑やかになった気がする。
夕月に助けを求めるように視線をむけると彼もニヤニヤと笑う始末。
けれど一瞬、真剣な目を感じた。会長という役柄、一人の生徒に固執するようなそぶりは見せてはいけない。
夕月も歯痒い思いを抱えていたのだろう。
(みんなの気は逸れたし。…でも髪を結ぶのはもうやめよう)
心の中で苦笑い。
…夕月の役に立ったならばそれで十分。いつまでも夕月に庇われ庇護されるわけにはいかないのだから。
また講堂の雰囲気が明るくなってきた頃、夕月が口を開いた。
「今から高等部での交流会を開始する。皆それぞれ楽しめよ」
夕月の声に一瞬静まった講堂は、また更なる盛り上がりをみせていた。
みんなの楽しそうな表情に、強張っていた頬がゆるむのを感じる。
生徒会やなんやと言っていても、この行事は皆が楽しむためのものなのだ。
(自分も楽しまなきゃもったいないな)
少しだけ憂鬱だった心が軽くなるのを感じた。
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