超常現象研究会の放課後

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「あらあら。それは良い考えですわ」 にこにこと天使のような微笑みを浮かべて悪魔のようなことを言ったのは女子部員の白銀だ。 真っ黒で癖のない長い髪は長身の白銀に驚くほど似合っていて、端正な顔立ちながらも柔らかな輪郭は確かに天使のようである、と出会った当初は中目黒もそう思ったものだが、最初の一言でそれは幻想だったことを知ることになったのはもう三ヶ月も前のことだ。 白銀は日本有数の大財閥である天馬グループの会長の愛孫であり、何故その正真正銘のお嬢様がこんな片田舎の公立校に進学するのかと、マスコミでも話題になったのは記憶に新しい。 周囲の反対を一方的に押しきって進学してきた白銀だが、その理由は中目黒たちですら知らない。会長の秋葉はもちろん中目黒も興味本意で訊ねてみたことはあったが、あの柔らかな口調でやんわりとかわされてしまった。あの強引な秋葉ですら聞き出せなかったのだから、何か事情があるのだろうと最近は気にしないようにしている。
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