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いつもと同じ笑顔でいる白銀だが、今はそれが怖い。
慌てて体を離そうとする秋葉だが、白銀がしっかりと抱き締めている。
秋葉が抵抗をやめると驚くほど部室が静かになる。聴こえてくるのは校庭で練習している部活の掛け声だけだ。
中目黒、秋葉、白銀の間に緊張が走る。国分寺だけは我関せずといった風でいつの間にか用意されていた専用ソファーで読書をしている。タイトルは『中目黒、愛と憎悪の日々』
背中に変な汗をかくのを感じた。
「あ、あの白銀さん?」
「中目黒くんは黙ってなさい」
普段は優しい白銀だけにいま感じているプレッシャーは凄まじい。
「秋葉ちゃん」
「なぁに?」
甘えた子猫のような声で返事をした秋葉。
「もう一度言うけれど。お茶してるだけで超常現象に遭遇出来ると本気で思ってるのかしら?」
女子の声とは思えないような低い声で話す白銀さんは秋葉の言い訳を受け付ける気はないようだ。
国分寺はついにお茶菓子を食べ始めた。白銀の視線は国分寺を捉える。
「国分寺くんも会議に参加してもらえるかしら」
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