いち: 世界の始まり

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謝ると湊と呼ばれた男は 「まったく ちょっと包帯取ってくるから うごいちゃ ダメだよ!」と 言って 出て行った 「あーあー 怒らせたな あれは」 「やっぱり 怒らせましたか?」 「うん 完璧に」 完璧に…‥か…やってしまった 「でも」 彼はにこりと笑うと 「あいつは 面倒見がいいから」 あたしの 紅い髪をくしゃくしゃにした 「お前 変わった髪してんな 炎みたいだ」 炎…‥…赤いもの 「はい 持って来たよ 包帯! 服脱いで ほら 早く」 「は はい!」 湊は戻ってくるとすぐに服を上げるように指示をした 「あー やっぱり 開いてる 痛いかも知れないけど 我慢ね」 「え!」 あたしの答えを聞かずに消毒液を塗られた 「おい 大丈夫か?」 「~ 大丈夫で す」 消毒液はあんなに痛いものだったか 「春(しゅん) あんくらい 大丈夫だ 消毒液の少し」 いや 威力は充分だった 傷よりも痛くないが 「いや それじゃなくて 傷のほう」 「ああ なるほど 確かに気になるな」 ふたりでじっと あたしを見つめる 怪我の理由を聞きたいのだろうか
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