汗も滴る良い男達

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「………なーんか気に食わねー」 「え、何が?」 「多紀って奴とアイコンタクト取ってただろ」 不機嫌そうな表情であたしを見つめる。 「もしかして……ヤキモチ?」 「そーだよ」 そう言うと、海斗はぐっと距離を縮めた。 目の前には海斗の顔。 「美月が他の男と話すのなんて、嫌だ」 「………っ!!」 いつになく真剣な顔で言ってくるものだから、動揺した。 海斗くんがこんなこと言うなんて…… そのとき、ピーッと笛が鳴った。 どうやら後半戦が始まるようだ。 はっとしてグラウンドに目をやると、またもや多紀と目が合った。 無表情で何を考えているのか分からないが、真っすぐこちらを見据えている。 なんだろ…… どうかしたのかな…… 気になったが、多紀はボールを追い掛けて走り去って行った。 海斗が隣でクスッと笑った。 「向こうもヤキモチ焼きだな……」 「……多紀くんが?どうして?」 「…………」 あたしが尋ねても、海斗は答えない。 ただ顔を伏せ、肩を震わせている。 笑いをこらえてんの? 「美月……まだ分かんねーの?ククッ……あいつ、可哀相だな」 「はっ?」 全く意味が分からん…… 可哀相? どういうことよ!?
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