汗も滴る良い男達

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先程の相手側の得点が響き、一気にこっちの空気が重くなったように感じる。 みんなの動きがぎこちない。 案の定、相手チームは勢いづいた。 危ないプレーが続く。 あたしはハラハラしながら見守っていた。 晃がエースらしくみんなに声をかけるが、モチベーションは上がらないらしい。 「まずいな…」 海斗が呟いて、あたしは無言で頷いた。 流れが完全に向こうである。 なんとかして流れを断ち切らないと、このまま相手のペースにズルズル引きずり込まれてしまう。 「あっ……!!」 多紀が抜かれた。 今までそう簡単に抜かれることなんてなかったのに、あっさりと抜かれてしまった。 集中力が欠けているのか…… 団体競技の怖いところがこれだ。 試合に流れというものがある。 もちろん、個人競技にもあるが、団体競技の場合流れというものは恐ろしい。 チーム自体が崩れてしまうから…… 多紀を抜いた相手は、仲間に絶妙なパスを送りシュートが決まった。 チームのみんながガクンと肩を落とす。 多紀が悪いと言って頭を下げた。 苦い表情を浮かべ、唇を噛み締めている。 晃が気にすんなと言わんばかりに多紀の肩を叩いた。 「ああ、もうっ……」 本当にこのままではやばい。 短時間に2点も入れられた…… 「……………っ!!」 また、多紀が抜かれた。 さっきので余計に隙だらけだ…… あたしはじっとしていられず、立ち上がった。
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