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「どこかで雨宿りしながら暖かいものでも飲むか?」
「初対面ですけど…。ナンパなら他を当たって下さい」
「少なくともナンパをしてるつもりはないが…。まぁナンパととるならそれでも構わない。一人で入るには面倒だ」
そう言って彼は離さなかった腕を離すとすぐに手を繋ぎ歩き始めた。
なんか分からないけど、少し話してみたい、こんなに同じ目の色の人初めてだし。
ひかれる手を振りほどくこともせずただ後を付いて行った。
彼に手をひかれ行きついた場所はホテル。いわゆるラブホテルだ。部屋へ入るなりソファーへ持っていた鞄を置く彼はタオルを手に取る。
「先にシャワーどうぞ」
濡れた髪を拭きながら言う彼。
まさかホテルだとは予想もしてなかった。でも、傷心の今ならだれでもよかった。一緒にいてくれるならだれでも。
せっかく大人の仲間入りした誕生日。一人でなんかいたくなかった。
彼に言われた通り浴室へ向かった。
熱いシャワーを体に当てる。
気付いていないだけで体は相当冷え切っていたようだ。
このまま、今夜彼に抱かれるならそれはそれで構わないとさえ思った。彼に抱かれることで全てを忘れられるなら、純とのことより彼との衝撃の方が強く残り思い出しても彼の方を思い出せるならそれでよかった。
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