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歩き始めてしばらくすると信号機に差し掛かった。
土砂降りの中、傘もささずにのんびり歩いている人物はさぞ珍しい、好奇の視線が投げかけられたが気にもならなかった。ただ悲しみにどうしたらいいのか分からないまま自宅へ足を進めていた。
人の波が信号機に足止めされている。同じように歩みを止めた。
彼はなぜ3股なのだろう?
浮気ではなく。
誕生日も祝ってくれないのになぜ彼氏だったんだろう?
彼のどこが好きだったんだろう?
浮かんでは答えの出ない疑問を繰り返していた。
信号が変わりまた人の波が動き出す。それに合わせるかのようにして歩みを進めた。
トンッ
誰かにぶつかってしまう。
「あ、ごめんなさい」
考えながら歩き前を見ていなかった。一言謝るとまた歩きだし始めた。が、ふと違和感に襲われる。
歩いているはずなのにすすんでいない。
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