456人が本棚に入れています
本棚に追加
----
局長の部屋を出た政宗と小十郎は、屋敷の縁側で空を眺めていた。
「まさか未来に飛ばされるとは思ってもみなんだ…;」
「あぁ……しかも俺達が狙っていた天下を、あの三河の小僧が穫ったなんてな」
兜を外した政宗の髪が、風に揺らされている。
「未来ってのはぁすげぇよ小十郎。
船は飛んでるし、デカい建物が建ち並んでる…」
「中でもあの銀色に光る柱…人が作ったとは思えませぬ;」
銀色に光る柱…ターミナルのことである。
先程まで2人はこの屋敷の局長、近藤 勲と話しを交わしていた。
自分達が今まで長篠に居たこと、船のこと、全て小十郎が語った。
対して近藤は、ここの時代、場所、そして自分達はどういう組織なのかも…全て政宗らに語ってくれた。
「武装警察、真選組…彼らはこの国の治安を護る者のようでございまする」
「ruleを護るって…あんな強面揃いの輩がかぁ?
百姓や町人は顔みただけでビクビクすんだろ…。
特にあの鋭い目つきの奴…人を見る目じゃねぇだろ」
人を見る目じゃないような鋭い眼差し……政宗と同じ声、小十郎に刀を向けたあの侍の事だ。
「確かに、あれは人斬りの目。
そしてあの気配、人並み以上でございます」
「それは俺の事か? お侍さんよぉ」
「ッ…あなたでしたか!」
小十郎と政宗の背後には、あの鋭い眼差しをした男が、煙草というものを吸いながら立っていた。
「そうだ、てめぇの話ししてたんだぜ?
目つき悪くてみんな逃げ惑うんじゃねぇかって」
政宗がほくそ笑みながら男にガンを飛ばした。
「ほぉ…そいつぁ嬉しいなぁ。
ところでお前、本物の伊達政宗なら…剣の腕は確かなんだろうな?」
鋭い眼差しの男も政宗を睨みながら、煙を口から吐いた。
「あぁ? どういう事だ?」
「俺ぁまだてめぇらの正体を信じた訳じゃない。
だが、剣の腕が上手いなら、本物ってことだと信じてやる。
ということで独眼竜、俺と勝負しろ」
「何ですと!?」
「上等だ…面白ぇ」
「まッ…政宗様っ!!;」
-
最初のコメントを投稿しよう!