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空と地上がひっくり返る……そうして背中に強い衝撃が走る。
軽々と投げ飛ばされ咳込み、しかし痺れる手足に力を入れてトートはその小さな体を起き上がらせた。
「トートさん、流石に弱いっスね……」
その起き上がり様のトートを見ながら、勝ったと言わんばかりに仁王立ちの男がそう言うが、しかしトートはろくに聞かずにまた身構えたのだった。
その様子に、男はため息をつく。
「トートさん、もうよしましょうよ……そんなへとへとじゃ勝負にならないっスよ?」
「か……構いません!」
「いや、構いませんって言われてもスね……」
トートの根性は感心するものの、もはやそれだけではトートと戦うことは出来ない。
こんな疲れたフェアリー族を相手にするなど、結果は見え見えだからだ。
と、見兼ねた銀が二人のもとへ来て、ひとまずトートを宥める。
「トート殿、焦らずとも良いで御座るよ。まず一休みを」
しかしながら、トートは首を縦には振らない。
「いぇ…いえ!非力な私はもっと強くならねば!」
「それほど焦っても、すぐ強くなれるわけではないで御座るよ?力とは地道に着けて行くものであり……」
「しかし……ゲホッ…頑張らないよりはマシです!」
上に上に被さって言い返してくるトートに、銀は少々なりに悩む。
トートの言ってることは正しいかもしれないのだが、しかし物事には限度があるわけで。
だが、今のところトートにはそれが理解できてはいない様子だった。
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