三章‐不穏と影の道‐

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「何をボケッとしている?早く行くぞ」 彼の背中を見つめながらも、アルフェリオはそう声を掛けられてからは、歩きだした。 前を行くリーヴァへすぐに追いつき、横へと並びながら同じ歩幅で歩いて行く。 大通りとは違う静かな路地を共に行き、ふと、リーヴァはアルフェリオへ向いた。 「まず、どこに探りを入れるつもりだ?」 探りを入れるとは、つまり東方聖堂騎士団についての探り。 その問い掛けに、アルフェリオは路地の真上に広がる空を暫し見上げ、思案している様子だった。 そのアルフェリオの横顔を見つめながら、リーヴァは応えを待つ。 そして、数秒後。 「……奴らは、孤児を集めている。なら、孤児が集まる場所か……或いは」 「或いは?」 「……ここ王都の、王国認定孤児院だ」 「……そうか、その線もあるな……まさかとは思うが、公共施設に介入しているとは、思いたく無いが」 「まぁ、そうでなければ良いんだが……もし介入していたら、何かしらの情報が手に入る」 共にひそやかな会話を繰り広げ、また共に思案する。 もし、シリウス王国認定の孤児院に、そのような組織が何かしらの形で介入していたならば……ただでは済まない。 「とりあえず、抜き打ちの視察という形で見に行こう。そこで、何か裏を見せてくれればビンゴだ」 「上辺は孤児院……というより、表も裏も孤児院様々なのだから、あまり裏の深きに探りを入れるのは難だな。しかも、それでも尚何も無かったら、骨折り損だ」 苦笑いを浮かべ、リーヴァもまた空を見る。 「でもまぁ、こういう調査は思い当たる所や、関係を持つ余地がある場所を虱潰しに探るしか無い……」 確かにそうだが、もし孤児院に何も無かったら、あちらは相当な迷惑を被るわけだ。 しかし、組織についての何かが見つかれば、そこから情報の糸口が引き出せる。 まだ確定的ではないが、しかしリーヴァはある意味での興味を湧かせていた。 あの東方聖堂騎士団の手が、どこまで伸びているのかどうか。 クスリと笑い、リーヴァは歩み早めた。 それに続き、アルフェリオもまた歩みを早めるのだった。 「さてアルフェリオ……とことん探るぞ?」  
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