四章‐彼方の空に‐

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「うー…勝てません……」 また何度目か、柔らかな芝生に倒れ込み、たまらずソロネは声を上げた。 その弱々しいソロネの声に、アリスは立ち上がり、ソロネのもとへと寄る。 「稽古する内に、いつかは強くなれるから、頑張って?」 しゃがみ込み、ソロネの頭を撫でてアリスは微笑みかける。 と、ソロネはコクリと頷いて、重たい剣をなぜかアリスへ渡す。 当のアリスは、何事なのかと首を傾げ、剣を手にする。 すると。 「母上さまは、勝てますのですか?」 「さぁ……どうだろうね」 勝てるに決まっている。 そう、アリスとソロネの二人を見つめながら、心の内で言い切るサウル。 このアリスの実力、いくら今はこんなにおっとりとしているとは言え、いざとなったら脅威以外の何物でもない。 それを分かっているのだから、サウルは……。 「い、いや……まさかアリスが相手になるわけじゃあ…ないよな?」 いくら遊び程度の稽古だとは言え、相手がアリスでは遊びでは済まない。 できれば相手をしたくないのだが……。 しかしながら、ソロネはサウルの言葉に、ムスッとした表情で頷いたのだった。 「おい、アリス……マジでやるのか?」 「久しぶりにやってみようかな?ソロネも私が戦う所は見たことないしね」 こちらはソロネとは打って変わり、ニッコリと笑みながらアリスは言う。 だが、やはりサウルにとってはため息しか出ない……。 「サウルさーん、アリスさんは仮にも皇族ですからねー。怪我させたら大変ですよー」 と、リオが余計な忠告をする。 「何でお前!稽古する前からそんなおっかねぇこと言うんだよ!?」  
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