四章‐彼方の空に‐

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「ほ、本当に良いのかアリス?」 単なる稽古とは言え、本当に他国の皇族と戦っていいものか、やはり心配。 だが、そんなサウルの心配などいや知らず、アリスはまた麗美に微笑むのだった。 「また本当の戦争があったら、私も出るつもりなんだから。私だって稽古ぐらいしないと」 「そ…そうか……なら」 何かしら意を決するように頷き、サウルは木剣を改めて構える。 そして、アリスとの間合いをとりつつ、隙を探るようにじっと見つめた。 当のアリスは、微動だにせず、剣を翳したきりで動かず。 その様子に、だが一方のサウルは、地面に綺麗な緑を醸す芝生を踏みながら前へ出た。 そして、走り込み様に木剣を横薙に振った。 しかし、その一撃はアリスがすぐさま自らの木剣にて受けきり、切り返した。 素早く弧を描きながら繰り出されたアリスの剣に、だがサウルも負けず劣らず即座に受けきり、一旦は退く。 しかし、そこをアリスは狙う。 サウルが引き下がるとほぼ同時に、アリスは踏み出し木剣の切っ先をサウルへ構え、一瞬の内に突き出した。 「うわッ!?」 突き出された剣に、サウルは危うい所で剣を払うも、体勢を崩し微かによたつきながらまた引き下がった。 しかしアリスは再び踏み出すと、今度こそ剣の切っ先をサウルの胸目掛けて突き出し、ドスッと鈍い響きを上げながら衝突させたのだった。 胸に入り込む衝撃と激痛に、たまらずサウルの呼吸が止まり、そのまま更に後ろのめりに倒れる。 その様子にアリスは微動だにせず、ただただ剣を突き出した体勢のままで、サウルが柔らかい芝生の上に背中を打つと共に、ゆっくりと構えを解くのだった。 そのアリスの背後にちょこんと立つソロネは、呆気にとられながら風に靡くアリスの髪を眺めるのだった。  
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