四章‐彼方の空に‐

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「サウル、本気じゃなかったんでしょ?」 「……ま…まぁ…実はそうなんだけど……」 やっぱりどうして、皇族相手というのは気が引けるのだ。 結局の所、本気ではなかったわけで。 「あれがサウルの本気だったら、ちょっと残念だもの」 「ハァ……流石に王族や皇族を相手にするのは慣れてないからなぁ……」 「リドとは稽古しないの?」 「アイツは基本的にアルと稽古してるんだよ。あとは、ミシェリア隊長とか、クラウド副隊長とか……」 「ミシェリア?」 「竜騎士隊の隊長だよ……まぁ、基本的にミシェルって呼ばれてるんだけど。なんでミシェル隊長がリドと仲良くなってるのか、サッパリわかんねぇな……」 仲良く、というか、たぶん軍人としての仲の良さではあるだろうが。 「そう言えば……リドとアル、見かけないけど」 と、不意に疑問げな表情を浮かべ、アリスはサウルの背後や、はたまた四方へ目を向けてみた。 しかしながら、居るはずはない。 「さっき、リーヴァなら見かけたが?」 つまりはリドを見かけたわけだが。 「何でリーヴァになってるんだろ?」 「アレに変装していくってことは、城下に降りるんだろうよ。王様が普通に街中を歩き回ったら、色々とヤバイだろ?」 「お仕事、かな?」 「すくなくとも、ヒマな時ってのはあまりないからな。仕事だろうさ、何かは知らないけど」  
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