四章‐彼方の空に‐

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「サウル大尉~!」 と、仕事に向かおうとしていたのだが、呼び止められる。 どこから、というと背後だ。 サウルはその呼びかけに立ち止まりながら振り向き、城へ向かい行く向こうのアリスの背中をまた見たのだった。 だが、彼の声がアリスではないことはもちろん。 なぜなら、今まさにアリスへ一礼して横切り、こちらへ走り来る者が居たからだ。 声をかけるのだから、無論それはこちらに向かいくる者だと考えて至極当然。 その者へとサウルは手を上げて応え、来るのを待った。 待つ中で段々とその者の姿がより鮮明になるのだが、ふとサウルは眉間にシワを寄せて、嫌に引き気味な姿勢になる。 何か、あの者はおかしい……。 何がおかしいのかと考えるが、しかし、考えるより先にその者がすぐ前にくるや、もはや考える必要はなく、ただ理解に困るだけだという状況だった。 ちょっとだけ息を切らして、その者は黒髪を変にくしゃくしゃにしながらサウルの前に仁王立ちになり、しかしすぐビシッと背筋を伸ばして敬礼した。 その途端、もう片手に持つ“植物”に、腕を噛まれながら。 「サウル大尉!あの、アルフェリオ隊長が何処にいるかご存知ですか?」 噛まれているのにも関わらず、サッパリ気にすることもなく、その知的な雰囲気を醸す眼鏡をかけた少女は、サウルへそう問い掛けてきた。 だが、サウルはその質問に答えるより先に、まず。 「お前……そのブルーベリーは……」  
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