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「ところでサウル大尉、あの、アルフェリオ隊長は?……」
「ん……ああ、さっきリーヴァ隊長と居たのなら見たけど?」
「どこに行ったのかは、ご存知ないですか?」
「たぶん、城下じゃないか?軍の仕事絡みで……それでお前、アルフェリオに何の用なんだ?」
また逆に問い掛けられ、リリィはちょっとだけ考える様子でいた。
と、眼鏡の奥の瞳を微笑ませ。
「ミトラさんが呼んでるんです、この子たちに関係したことで」
「たちって……まだ居るのか?」
「色んな産地のものが居ます、シリウス王国ラドリスベリー種とか、シェトランド皇国シャムリスベリー種とか」
そう言い、やっと腕を噛まなくなったブルーベリーに尚も蔦を絡まれながら、それをズイとこちらへ翳すリリィ。
たまらずサウルは顔を引き攣らせて引くが、歯の無い口の下に付いた、普通のブルーベリーとは違うキョトンとした目がこちらへ向くと、何も引くほどの気味悪さは感じられなくなった。
このブルーベリーは、目付きが良い。
「この子たちが関係すると言っても、私には何なのかサッパリですけど。アルフェリオ隊長が居ないのなら、そう報告しますね」
「まぁ、とりあえずそう報告しておけば良いんじゃねぇか?アルフェリオのやつ、いつ帰るか分からないし」
そもそも何の仕事なのか分からないのだから、帰る頃合いを知るわけがない。
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