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暗がりの中でも目立って艶のある長い白髪を、クスクスと笑いながら微かに揺らめかせ、凛としたその表情でアルフェリオを見つめるリーヴァ。
その赤眼に見入るようにアルフェリオはじっと見返すが、しかしため息。
この調査を始めたのは自分だが、この先どうなるか……。
またため息を着くために、アルフェリオはこの廊下に立ち込める重たい空気を吸い込んだ。
と、スッと冷たい感覚が喉を通ると共に、廊下にこの空気ににも似る冷たい音が聞こえてきた。
淡々と、単調なテンポを刻む足音が。
アルフェリオはため息を押し殺して、その足音が響き来る方へ向いた。
共に、リーヴァもそちらへ目を向ける。
「大変お待たせ致しました、シリウスの騎士様」
足音は止まり、それに代わり声が聴こえた。
よく透った、この廊下の石壁にさえ容易に浸透して消えてしまうかのように、清んだ声。
「いや、お気遣いは結構……それで?」
その声に応答しつつ、リーヴァがその者へ面と向かう。
その者、その女性は、この孤児院を修道院かと見紛わせるように、修道女の黒い衣服を纏い、リーヴァとはまた違う凛とした微笑みを浮かべながら、静かに頷く。
「院長は、ただ今遠方でのお仕事で御不在ですが、視察をするのはお構いありません」
「そうか……できれば院長とも話をしたかったのだが」
「申し訳ございません……院長には、後に騎士様が視察へ来られたと報告しておきますので」
また凛と笑み、女性はスラリとした手を廊下の出入り口の向かい側へ差し延べ、「こちらへどうぞ」と、二人を案内する。
それに合わせリーヴァが先に、続いてアルフェリオが背後に着いて行くのだった。
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