1人が本棚に入れています
本棚に追加
知りたいという気持ちと、知りたくないという気持ち。
曖昧で、矛盾したこの世界が嫌いで、けれど好き。
扉を開ければそこがどんなに悲惨な光景かは予想がつく。それを見れば、自分が闇に落ちてしまうことも。
けれど、俺は扉を開ける。
そこに自我なんてない。唯、本能的に開けた。
そして、俺は、いっそ笑える位予想通りに闇に落ちる。
怒りと、憎しみと、絶望と、悲しみ。
一気に湧き上がる感情に、正直、頭が痛い。けれど、どこかそれにも冷めた俺がいる。
目の前の光景を、受け入れようとしない俺と、それを静かに受け止めてしまった俺が、同じ心(ばしょ)に存在している。
そして、俺は悪になった。
世界を滅ぼす。それだけが、俺をこの世に生かしてくれる思いのような気がしたから。
このまま死んでしまおうか。けれど、生きていたい。
矛盾だらけの世界に気づいてしまった俺は、それを壊すか、耐えられずに死んでしまうか。
俺は、世界を壊すことを選んだ
.
最初のコメントを投稿しよう!