そして悪は生まれる

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知りたいという気持ちと、知りたくないという気持ち。 曖昧で、矛盾したこの世界が嫌いで、けれど好き。 扉を開ければそこがどんなに悲惨な光景かは予想がつく。それを見れば、自分が闇に落ちてしまうことも。 けれど、俺は扉を開ける。 そこに自我なんてない。唯、本能的に開けた。 そして、俺は、いっそ笑える位予想通りに闇に落ちる。 怒りと、憎しみと、絶望と、悲しみ。 一気に湧き上がる感情に、正直、頭が痛い。けれど、どこかそれにも冷めた俺がいる。 目の前の光景を、受け入れようとしない俺と、それを静かに受け止めてしまった俺が、同じ心(ばしょ)に存在している。 そして、俺は悪になった。 世界を滅ぼす。それだけが、俺をこの世に生かしてくれる思いのような気がしたから。 このまま死んでしまおうか。けれど、生きていたい。 矛盾だらけの世界に気づいてしまった俺は、それを壊すか、耐えられずに死んでしまうか。 俺は、世界を壊すことを選んだ .
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