そして悪は笑う

光に闇が差し掛かる頃

――

この世界の何処かでそいつは笑った。
灰色の目には疲労が宿っている。
どこか虚ろなそいつはゆっくりと笑った。
まるで、笑い方を思い出したかの様に。

『力は、溜まった』

『今が、その時だ』

囁くような、小さな声に周りの者達が歓声を上げる。
闇の者、とうの昔に忘れられてしまった邪悪な者たちが、そいつを囲み狂喜する。

『世界に、終わりを』

どこか芝居かかったその言葉に魔物たちの醜い叫びがいっそう高まる。
狂ったように叫ぶ魔物たちを冷たく見てから、この世界のどこかで悪夢に魘される自分に告げた。

『復讐を』

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