光に闇が差し掛かる頃

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授業に集中しようとイオは軽く頭を振った。閉じかけていた目を無理矢理開け、写しかけのノートに集中しようとする。 隣をふと見れば、キオーンは机に突っ伏して寝ている。起こしてやろうと思ったが、そのままにしておいた。 特Aクラスにはたった十人しかいない。そのため、教室は妙に広く感じられる。キオーン以外にも、眠っている者が多々いる。眠気に打ち勝って、真面目に授業を受けているのはステファノス位だろう。 午後の日差しの中で銀色の髪と、色素の薄い水色の虹彩(ひとみ)が煌いている。それをちらちらとサピロスが盗み見している。燃えるような赤毛と、それ以上に赤い虹彩が日差しを浴びて激しく輝いている。 隣で寝ているキオーンの金髪も輝いている。 イオの灰色の髪と虹彩は鈍く、鉄の様だ。自分の容姿が嫌いではないが、時折、三人の様な明るい色素がよかったと思うことがある。 と言うより、この国ではイオのような色素の方が珍しいのだ。 でも、こっちの方が自分に合ってる。 パッとしない外見のほうが、悪役には打ってつけだ。 「あと、二分……」 何時から起きていたのか、キオーンが腕時計を見てカウントを始めた。
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