プロローグ

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そこは、とある終わりを迎える直前の世界………。   空は黒く分厚い雲に覆われていて、その所為でなのか天から大地を照らしていたはずの光も、今はその一切を失っていた。 そんな世界で、何かが光を放ち、雷のごと速さで大地を駆ける。   「そっちにいたぞー。」   白銀の、見るからに重そうな鎧を纏った一人の男が、一つの方向を指差し大声で叫ぶ。   西洋の物語に出てきそうな、騎士を想わせる鎧を纏ったその男は、片手に鎧とセットではないだろうかと思う程にしっくりとくる両刃の太い剣が握られていて、もう片手には青白い炎が灯っていて周りを薄く照らしている。 だが、灯っている炎は松明などではなく、どう言った原理なのか、手から直接吹き出していて何か幻想的な物を想わせる。    「追え、けっしてにがすなー。」 「おおおおおお。」   男の掛け声を合図に、光が差し込まないはずの闇の世界に、青白い炎が無数に灯り始める。
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