side・九朔

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九朔は慌てて 周りを見回しながら、 沢山の人の中から目当ての人を 捜そうとしていると、 「よっ、九朔! 今日はどうしたよ? またかわいいコート着ちゃって」 と後ろから声が降ってきた と同時に 大きな手が 九朔の頭を くしゃくしゃっと撫でた。 正しく捜し人の声に、 九朔は顔が 上気していくのを感じながら、 叫んでいた。 「九郎先輩! 髪をぐちゃぐちゃにするの 止めて下さい、 て何度言ったら 分かるんですか!」 「お、よしよし。 いつも通り元気だな」 といつもと変わらない先輩の笑顔。 「ええ、元気ですとも! それより可愛いコートって なんですか! そりゃ妹が選んでくれたやつだから、 ちょっと派手かなとはおもいますが」 「おお♪ 紅朔ちゃんの お見立てなわけね。 もしかしてお揃?」 「そうですけど? 我が橙で妹が紅」 「うわ、 イメージぴったし! さすが紅朔ちゃん♪」 双子の妹の事を そう褒められても なんだか嬉しくない、 と思いながら さらに会話を続けようとした時、 ちょっと離れた所から 声がかかった。 「おい 九郎! 九朔見つけたなら 早く連れて来いよ!」
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