絶望

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絶望

 あれから3日経った。長谷川の行方は未だ掴めない。このままでは、彼を助ける事はできない。警察にも行方を追ってもらっているが、手掛かりすら掴めないままだった。  長谷川がパスポートなりカードを使ったらすぐにわかる様にはなっているのだが、一向に使ったという情報は入っては来なかった。  「もはや長谷川を助ける事はできないのか?」そんな絶望感が私を支配した。  私はこれ以上何も失いたくはない。しかし、私はあまりにも無力だった。八方塞がりである。この絶望を打破できるものを私は持っていない。自分の無力さを呪ったがどうにもならない。  結局何もできずに実家に帰ると、鉛の様な飯を食べた。  食事が終わり、椅子に座っていると、堪えがたい程の眠気に催なまれた。そのまま、私は眠りについた。  夢に弟が出てきた。履き古したジーパンにいつも着ているお気に入りの革ジャン姿だ。私の記憶に刷り込まれている最も鮮明な弟象が私の前にいた。 「兄さん、残念だが長谷川を助ける事はできないよ。彼もそれを悟っている。だが……兄さんだけなら助かる可能性は残されている」 「お前……」 「いいかい、兄さんが殺されるであろう日に長谷川の声で電話がかかってくる。そうしたら、すぐに逃げるんだ。躊躇してはいけない。躊躇すれば……確実に死ぬ。決断するんだ」 そこで目が醒めた。  私は諦めきれないでいたが、時間は無情に過ぎて行った……。
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