残された時間

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 昼になり、私は長谷川の葬儀に顔を出した。旧友や親戚達が集まり、厳粛な雰囲気の中葬儀が行われていた。  御焼香を済ませると私は長谷川の遺影を拝見した。細い引き目がこちらを何とも言えない視線で見つめている。何もない空間を見つめている様で、また何かを見透かしている様にも見える。  長谷川はよくこんな表情で物思いに耽る事があった。その視線の先に何があるのかは本人しかわからない。しかし、確実に何かあったのであろう、長谷川の洞察力や判断力には舌を巻いたものだ。  親友の思い出を心にしまい、私は彼の冥福を祈った。心のアルバムの「長谷川のページ」はもう増えることはない。しかし、もう増えることのないそのページを私は人生で一番開くことであろう。  私はこんなにも思い出深い親友に殺されるのだろうか?例え、親友の声をして親友の皮を被った偽者でもそれは堪えがたい。そもそもその偽者の正体は?  私は御手洗を始めとして、長岡、長谷川そして弟の無念を晴らすためにもその正体を暴かなければいけないと心に念じた。
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