第一章

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レイヴンの方はどうなった? 友達からお望みの物は貰えたのか、まあ無理だったとは思うがな」 『ほう、どうしてそう思うのです?』 「ただのカンだ、ジャーナリストのな」 『予想と違いますね。 私はてっきり“昔のカン”の方を予想していました。 ――レイヴン君は友達に逃げられてしまったそうです。 お茶も召し上がって貰えなかったそうですよ』 「そうか」 『そして、幸運な事に彼がアナタの直ぐ近くに来ています』 「何?」 『彼もまた、お友達を助けるのが目的のようですよ。 ――黒川柚月、こっちの世界では多少名の通った護り屋です。 彼と黒川柚月は、古くからの友人だと情報が上がって来ています』 「ああ、ソイツには会った。 多少手合わせをしたが、中々の逸材だなアレは。 まだ不足がちだが、経験を積めば十分に化ける可能性がある」 『なるほど、そうでしたか。 ですが、今は黒川柚月に用は有りません。 アナタは彼の捜索を行い、JUSTICEを奪取して下さい』 「了解した」 そして『後にメールで顔写真を送ります』という向こうからの一言で通話は切れた。 今の通話は電話ではない。 こんな場所では電波は届かない。
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