プロローグ

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あとな、先に惚れたのは俺じゃなくてお前だ」 「何よそれ。 そっちが先に私をナンパしたんじゃない。 恥ずかしい言葉並べて寄ってきてさ」 「お前の方こそ、俺にちょっと甘言掛けられたくらいで舞い上がってたじゃねえか。 嫌がらせかと思う位に一日に何回も連絡してきやがって」 「そっちが先でしょ!」 「いいや、お前が先だ!」 「そっち!」 「お前!」 「そっち!」 「お前!」 くだらぬ問答が幾度にも続き、やがて止まる。 「止めるか、無駄だ……こんなやり取り」 「そうね。 同感」 魔帝もユスティアも荒々しく息をする。 魔帝は椅子に深く座り込み、ユスティアはテーブルに倒れる。 煌びやかな長いゴールド・ブロンドがテーブルの上を流れた。 「なあ」 「何?」 「無事で良かったな」え……とユスティアの口から無意識的に言葉が出た。 瞬間、身体の奥から熱くなるような感覚がユスティアを襲った。 「え、あ……う、あ、うん……」 「何どもってんだよ」じーっと魔帝がユスティアの顔を見た。 その視線を感じ、ユスティアが急いで魔帝から目を離す。 魔帝が席を立った。 ユスティアの身体をそっと抱き寄せる。 「え、ブ……」
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