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「やっぱり可愛いな、お前」
ユスティアが魔帝を見上げる。
自分より頭一つ分大きな相手を、下から見上げるというのはどんな気分なのだろうか。
魔帝がユスティアの頭を撫でた。
「な、何するのよ。
いきなり」
「お前さ、今ドキッとしただろ、クス」
ユスティアが魔帝から飛び退く。
今の言葉に虚を突かれ、思わず飛び退いてしまったのだった。
ユスティアが慌てて髪を掻いたり、深呼吸したりして平静を保とうとしていた。
それを見て可笑しいのか、魔帝がケラケラと笑う。
「お前、まだそれ付けてたんだな」
「え?」とユスティアが言う。
「それだよ、それ」
魔帝が言っているのは、ユスティアが填めている指輪の事だ。
ユスティアが自分の手を見た。
そして、自分の手を握る。
「だって、貴方が私にくれた物だから……
その、初めてだったし……嬉しかったから」
「そうか。
なら――助けてやるよ」
「へ?」
「最初っから助けて欲しくて呼んだんだろ、俺を。
それならそうと言や良いんだよ。
ったくお前って女は昔っから他人に声をかけねえ頑固者だよな」
「良いの?」
「男に二言は無ぇっ!
それにな、言っただろ。
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