第一章

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第一章

世界国家軍ことリーベル・フォース(通称:ReF)のイリーガル、シルバーは未だフォーマスト=グレイスとの戦闘を継続中だった。 「はぁー……はぁっ。 いつになったら死ぬんだよ、流石に負けるかもとか考えたくなるじゃんか」 「いやいや、はぁ…… 立派、やで。 自分とここまで張り合うとるヤツは久し振りや。 いくら死に難いかて、スタミナは有限やねんど。 ――そっちも、そろそろ限界やろ?」 お互い、もう既に大量の血を流している。 体力も限界に近く、レイもグレイスもお互いに相手が早く倒れる事を願っている。 「なら、そっちが倒れろよ……」 レイが拳を振り被り、殴る。 「嫌や。 何回も言うようやが、自分は拒否する」 それと同タイミングでグレイスもレイの頬に拳を直撃させた。 今やこの戦いはただの殴り合い、お互いに武器も魔術も何も使わない拳だけの闘いとなっていた。 レイのあらゆる攻撃がグレイスの右手で掻き消されてしまう今、レイにとって今ある最良の武器は拳しかない。 そしてそれはグレイスにとっても同じ事で、あらゆる攻撃を受け流すレイの身体にダメージを与えるには、右拳しかない。
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