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知能を持ち、武器を使う事を覚えた人類だが、今の行為はとても原始的だ。
殴る、ただ殴る。
相手が倒れるまで。
それ以外に方法は無いし、それ以外の事を行えば相手に勝負を決められてしまう。
二人共負けず嫌いで意地っ張りだ。
プライドにかけて退く事はしないだろう。
――二人の息遣いだけが木霊する。
ここには、鈴音によら操られた人達が蔓延っている筈なのにだ。
本能的にこの場に近付く事を恐れているのか、はたまた別の理由があるのか……詳しくは解らないが、今この場に邪魔者はいない。
「次で、終わりに……しよか。
お前も……限界やろ」
「ボクも、丁度そう思った……ところだ。
終わりにしよう」
二人が拳を衝突させた瞬間、辺りに吹き荒れる塵風。
レイとグレイスの姿を完全に包み隠し、周囲のビルを薙ぎ倒す。
――天は、決着を見せたくないのか、最後にどちらが立っているのかは――未だ解らなかった……
◆
『何やら、特殊な術式が施されており、突入が出来ません』
そう伝えられたのは数分前だ。
レナード=ランサー小佐に求められた増援要請。
先に送った部隊はレナードを除き全滅したらしい。
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