第一章

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知能を持ち、武器を使う事を覚えた人類だが、今の行為はとても原始的だ。 殴る、ただ殴る。 相手が倒れるまで。 それ以外に方法は無いし、それ以外の事を行えば相手に勝負を決められてしまう。 二人共負けず嫌いで意地っ張りだ。 プライドにかけて退く事はしないだろう。 ――二人の息遣いだけが木霊する。 ここには、鈴音によら操られた人達が蔓延っている筈なのにだ。 本能的にこの場に近付く事を恐れているのか、はたまた別の理由があるのか……詳しくは解らないが、今この場に邪魔者はいない。 「次で、終わりに……しよか。 お前も……限界やろ」 「ボクも、丁度そう思った……ところだ。 終わりにしよう」 二人が拳を衝突させた瞬間、辺りに吹き荒れる塵風。 レイとグレイスの姿を完全に包み隠し、周囲のビルを薙ぎ倒す。 ――天は、決着を見せたくないのか、最後にどちらが立っているのかは――未だ解らなかった……       ◆ 『何やら、特殊な術式が施されており、突入が出来ません』 そう伝えられたのは数分前だ。 レナード=ランサー小佐に求められた増援要請。 先に送った部隊はレナードを除き全滅したらしい。
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