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軍規に背く一匹者のレナードだが、勝ち戦と負け戦を判別するくらいの眼力はあるだろう。
掃討作戦を虐殺行為と虐み、部隊で行動する事を嫌う男が部隊の出動を懇願している。
これには、何か裏があるだろう。
彼が自らの信念を曲げてまで増援を寄越させようとしている理由。
ステート・ビルがテロリストに占拠されたという報告は、ハンコック=サディントンの耳にも入っている。
そしてその任に当たったのがレナード=ランサー。
テロリストは少数と聞いていたが、ReFの精鋭を全滅に追い込むような兵(つわもの)なのだろうか。
ハンコック=サディントンはギシギシと軋む音を立てる椅子に深く腰を落とした。
そして、デスクの上に設置されている電話に手を伸ばし、内線を繋ぐ。
「私だ」
「司令、どのような――」
「C兵器の発射準備を進めろ」
「え、C兵器でありますか?」
「そうだ。
この老いた身に二度も同じ事を言わせないでくれ。
我々は、断固として反政府勢力に屈してはならない。
これは、世界和平の為に我々が絶対に曲げてはならない絶対の規律だ。
逃してはならぬのだよ、絶対に」
サディントンが電話を切った。
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