850人が本棚に入れています
本棚に追加
/546ページ
頭の中が真っ白になった。自分が次に言おうとした言葉が思い出せず、口だけパクパクと鯉みたいに開けていた。
五秒以上経った今、やっと頭に入ってきたのみで理解はまだしていない。
えっ?あれ?俺、志保に告白されていたのか?だって、『付き合ってください』って言われたもんな?
えっ?はっ?ってコトは、志保は俺のコトが好きなの?志保が俺のコトをっ!!?
で、俺は志保のコト大好きで……っつーコトはだよ。片思いだと思ってたんだけと、まさかの両思いだったの!!?
うっわーー、何だか知らんがやっちまったー。な、なら、き、ききき、キスぐらい俺から。
俺は答える代わりに志保の左手に右手を重ね、ゆっくりと顔を近付けて行った。
顔、真っ赤だろうな。自分でも分かるぐらい顔が熱いもん。
志保は目を瞑って、受け入れようとしている。俺は上から優しくだが、しっかり手を握った。
「そう簡単にキスなどさせるかーーッッッ!!!!」
千香の声だと判別出来た瞬間の刹那には、もう後頭部に強い衝撃により……
「がッは、うごへッ、ゲほ」
キスをしたのだが、最愛の志保の唇ではなく小汚い砂浜にだった。
第1部―完―
最初のコメントを投稿しよう!