夏休み【前編】

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頭の中が真っ白になった。自分が次に言おうとした言葉が思い出せず、口だけパクパクと鯉みたいに開けていた。 五秒以上経った今、やっと頭に入ってきたのみで理解はまだしていない。 えっ?あれ?俺、志保に告白されていたのか?だって、『付き合ってください』って言われたもんな? えっ?はっ?ってコトは、志保は俺のコトが好きなの?志保が俺のコトをっ!!? で、俺は志保のコト大好きで……っつーコトはだよ。片思いだと思ってたんだけと、まさかの両思いだったの!!? うっわーー、何だか知らんがやっちまったー。な、なら、き、ききき、キスぐらい俺から。 俺は答える代わりに志保の左手に右手を重ね、ゆっくりと顔を近付けて行った。 顔、真っ赤だろうな。自分でも分かるぐらい顔が熱いもん。 志保は目を瞑って、受け入れようとしている。俺は上から優しくだが、しっかり手を握った。 「そう簡単にキスなどさせるかーーッッッ!!!!」 千香の声だと判別出来た瞬間の刹那には、もう後頭部に強い衝撃により…… 「がッは、うごへッ、ゲほ」 キスをしたのだが、最愛の志保の唇ではなく小汚い砂浜にだった。         第1部―完―
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