1-1.オオサワマナ

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―――――… 「ただいまー」 マンションの一室。 小さく発した声は物音1つしない真っ暗な室内に響くには十分だった。 「……ふぅ」 リビングへ行き、外出前から変わらない室内を見て、妹の部屋へ向かう。 ガチャ なるべく音をたてないように扉をあけた。 「……お姉ちゃん?」 「ごめん、起こしちゃった?」 「ううん。大丈夫。」 ベッドに寝ているのは、妹。 『大沢愛奈』だ。 重そうに体を起こすと、ベッドの外に足を出して腰かける。 「愛奈、熱はどう? あんた1日寝てたの?」 「ん。朝よりだいぶいい。」 そう言って笑った顔はまだどこか弱っていて、声はかすれていた。 「汗かいたね。着替える?」 「うん。」 姉、遥奈はタンスから着替えを出している。 「…お姉ちゃん、こんな遅くまでどこ行ってたの。夜中じゃん。つーかもうすぐ朝だよ。」 「えへへ…ちょっとね。」 笑って話をながそうとする。 「ふーん…」 いつもは姑のように問いただす愛奈も、熱のためか追求はしなかった。
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