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―――――…
「ただいまー」
マンションの一室。
小さく発した声は物音1つしない真っ暗な室内に響くには十分だった。
「……ふぅ」
リビングへ行き、外出前から変わらない室内を見て、妹の部屋へ向かう。
ガチャ
なるべく音をたてないように扉をあけた。
「……お姉ちゃん?」
「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん。大丈夫。」
ベッドに寝ているのは、妹。
『大沢愛奈』だ。
重そうに体を起こすと、ベッドの外に足を出して腰かける。
「愛奈、熱はどう?
あんた1日寝てたの?」
「ん。朝よりだいぶいい。」
そう言って笑った顔はまだどこか弱っていて、声はかすれていた。
「汗かいたね。着替える?」
「うん。」
姉、遥奈はタンスから着替えを出している。
「…お姉ちゃん、こんな遅くまでどこ行ってたの。夜中じゃん。つーかもうすぐ朝だよ。」
「えへへ…ちょっとね。」
笑って話をながそうとする。
「ふーん…」
いつもは姑のように問いただす愛奈も、熱のためか追求はしなかった。
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