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車から見える基地内は春らしく花が咲き乱れ大変美しいが、周りにはいくつもの高射砲が並び、それがここを軍事基地であることを嫌でも実感させた。
「詳しい話は明日になるが、お前は俺の中隊、第8中隊所属になる予定だ。ついでに言うと、俺とお前でロッテを組む」
ワーゲンを走らせながらバウマンが言った。
中隊という言葉は分かったが、ロッテが何を意味するか分からずエルナが困惑しているのに気付いたのか、彼は軽く笑いながら続ける
「悪かったな。ロッテってのは飛行隊の最小単位である小隊をさらに細かく分けたものだ。4機編成の小隊を2機ずつに分けたものがロッテ。お互いにカバーしあうパートナーみたいなもんになるかな。…そろそろ着くぞ」
バウマンがそう言うと同時にワーゲンが足を止めた。
前には石造りの基地司令部が建っていて周りでは兵士達が忙しそうに動いている。
遠くに目をやると久しぶりに見る飛行機が並んでいた。
見慣れたLo-22を探したが、とっくに退役した旧式機なためか見当たらなかった。
「候補生!こっちだ」
バウマンが司令部の入り口立ちながら呼んだ。
慌てて司令部の中に入ると、内部は外観に劣らぬ重厚な造りになっていた。
その建物をバウマンの後に付いていくと、Ⅲ Gruppeと書かれた扉の前で止まった。第3飛行隊。エルナが所属する事になる部隊である
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