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何時間たったろうか
窓から射す光が赤みを帯びて夕闇が近付いてきていた。
エルナはずっとDe-14に手をあてながら同じ事を考えていた。
戦う事を全く知らぬまま生きてきた彼女が昨日、突然戦う決意をしようとした。
その理由は彼女自身にも分からなかった。
日が暮れる頃になって彼女を連れてきた運転手が現れた。
軍服を着たバイヤー公爵を連れて。
「エルナ、ここにいたのか。屋敷に戻ろう。昨日も言ったが戦場には行かせない。絶対だ」
昨日ほどではないが、公爵は高圧的に言った。
しかし、彼女も何かを得たのか、引き下がろうとはしない。
強い気持ちを込めた瞳で公爵を見つめていた。
「私にとって、妻を早く亡くし子にも恵まれなかった私にとって、君はたとえ養女といえど大切な娘だ。その大切な娘を前線へなど送れるはずがないだろう。そして自らの手を血に染めてほしくないんだ。
私は君のためならいくらでも戦おう。
喜んで返り血もあびよう
しかし君には…君だけには美しくあってほしいんだ!」
いつもの冷静さを失ったように叫んだ公爵の声が格納庫に響いた。
それにエルナは驚いたが、口を開いた
「わ、わたくしは…
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